大判例

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東京地方裁判所 昭和36年(ワ)522号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決要旨〕罹災建物の借主がその敷地の範囲を著るしく超過する過大の土地につき賃借申出をした場合には、右申出は罹災都市借地借家臨時処理法の優先賃借の申出とは別個の賃借申入と解すべく、当然に法定の優先賃借の申出を包含するものと解することはできない。

〔争点〕原告は本件土地所有権に基いて被告らに対し本件建物収去土地明渡を求めたが、被告らはこれに対する仮定抗弁として、本件土地部分五〇坪に戦前から原告の前主保坂兼次郎所有の建坪二二坪余の二戸建一棟の建物があり、そのうち一戸を細淵退輔が賃借していたが、昭和二〇年四月一三日右建物が戦災により焼失したので、右退輔は同年一〇月頃保坂に対し本件土地部分五〇坪の賃借申出をしたことがあり、この申出は罹災都市借地借家臨時処理法に基く優先賃借の申出の趣旨を包含しているから、退輔は少くとも賃借していた一戸の建坪一一坪二合五勺の敷地であつた一七坪二勺七才の部分につき優先賃借の申出による賃借権を取得したことになり、その相続人たる被告らはその範囲で原告に対抗し得ると主張した。

判決は、次のように説いて被告らの抗弁を排斥している。

〔判決理由〕次に被告等の罹災都市賃地借家臨時処理法に基く優先賃借権の主張について判断するに、細淵退輔が保坂兼次郎より賃借していた罹災建物二戸一棟のうち一戸は、さきにも述べたように建坪一一坪二合五勺であり、先の所在箇所は原告と被告等との主張の間において必ずしも一致をみないが、仮りにその敷地が被告等主張のとおりの一七坪二勺七才であるとしても、本件土地部分五〇坪に比すれば一小部分に過ぎず、しかるに細淵退輔はさきにも認定したように、本件土地部分五〇坪の賃借申入をしたものであり、同人が右申入をあくまでも五〇坪の賃借申入として推持したことは本件訴訟の経過に照らしても明らかであるところ、そもそも罹災建物の借主はその敷地の範囲において優先賃借の申入をなすことができるに過ぎないから、その範囲を著るしく超過する過大申入をなし、しかもその過大申入をあくまでも推持する限り、もはや右申入は法定の優先賃借申入とは別個の賃借申入と解するのほかなく、右申入が当然に優先賃借申入を包含するものと解することはできない。とすれば、本件の場合、優先賃借の申入は結局なかつたことに帰するというのほかない。(古山宏)

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